続・六畳間奮闘記

男には自分の世界がある。例えるなら空をかける、ひとすじの流れ星

図書館の魔女 完

図書館の魔女・全4巻、読み終わりました。ついてはその感想を・・・

・・・感想を述べようにも、何も言う言葉が出てこない。ただ、すごかった。これに尽きる。

ーーーこの作品は、自分の中では獣の奏者に並ぶほど好きなシリーズとなった。ちなみに獣の奏者は、俺の大好きな作家である上橋菜穂子の作品の中でもとりわけ思い入れのある作品である。これに並ぶ作品には、そうそう出会えるものではない。

ゲームのフェイト・本の獣の奏者・ライトの円環少女。これを俗に六畳間三銃士というが、今宵、ここに図書館の魔女が加わったことにより四天王と相成ったわけである。

やはり図書館の魔女の特徴は、その文章。獣の奏者のように簡潔な文で鮮やかな情景を描いてみせるわけでも、SF小説のように難解な文章を書き連ねて重厚な世界を演出するわけでもない。この本は、書き連ねた言葉が文となり、行間を形作り、物語世界を構築する、この基本的な仕組みを巧みに操って読み手を本の世界へ引きずり込む。用いられている言葉の一つ一つが読み手を、より深い読書へと誘っていくのである。

また、全4巻を通しての物語の起承転結がさりげなくもはっきりと行われているのもいい。ここはわかりやすさとかそういった面でなく、物語の、物語としての美しさを上げるのに一役買っている。

そして外せないのが、キリヒトとマツリカの恋愛模様。これは俺が語ってもしょーがないので、ぜひその手に本書をとって見ていただきたい。

それにしても、この本の良さを語り合える人が周りにいないことが悔やまれる。誰か読んでくれないかな~、と、ここで訴えてみたりみなかったりーーー