続・六畳間奮闘記

男には自分の世界がある。例えるなら空をかける、ひとすじの流れ星

劇場版Fate/Heaven's feel の感想


ーー1年、制作発表から1年待ちました。劇場版Fate/HF(以下HF)ですが・・・素晴らしいの一言に尽きる。

公開されてからは二回見に行ったのだけれど、その中で特によかったと思う所、主に演出を何点かピックアップして考察を交えながら書いていきたいと思います。細かい仕草や表情の変化なども、もちろんとてもよかったのですが!
 
 ①会敵x協会xバーサーカー
 はっきり言いましょう。このシーンを見たとき、「ufo、あんたスゲェよ。」って思った。この戦闘自体は、これまでの各ルートでも行われてきた通常のものです。ここで言いたいのは、この「セイバールートでのバーサーカー初戦闘シーン」を、「桜ルートであるHFに持ってきた」というシーン構成についてです。本来、HFにはこのタイミングでのバーサーカーとの戦闘は存在しません。すごいのはこれを此処に持ってきたその事実。では、なぜufoはこのシーンを、やるにしてもオリジナルで作るのではなくセイバールートのものを引っ張ってきたのでしょうか。わざわざその時のCGまで入れて。・・・これは明らかにufoの策略です。HFでは、桜の心情を描写するために2時間の枠を使います。そのため、士郎とセイバーとの関係性には深く触れられない。しかし、今後の展開の都合上この二人の関係描写は必須となります。そこで、このシーン。これにより、士郎とセイバーの運命の夜はこれまで通りあったのだと、あの夜、確かに衛宮士郎は彼女に心奪われたのだと知ることができます。そのうえで、これから士郎は桜を選び、セイバーとの展開へつながるわけです。ゲームでは日常描写で行っていたことを、こんなふうに表現するとは・・・・恐るべし!


 ②「黒い影」
 HFにおける最大の謎にして最重要ポイント「黒い影」。1章では2回しか(本体は)登場しないのですが、この2回でこの影がどれだけ聖杯戦争において異質なものなのかということを完全に刷り込まれました。見た瞬間、背筋がひやりとする恐怖感。フラリふらりと夜を徘徊する影は、見るものすべてに異質なものへの恐怖と拒否感を抱かせます。そして2回目の登場では・・・無音。この演出は、ホントやばかったです。ただ立っているだけなのに、ゾワリと怖い。だけどどこかに寂しさを感じさせるこの見せ方。さすがはufoとだけ言っておきましょう。まいりました

 ③柳洞寺xセイバー(別れ)
 ここでは、静から動への急激な状況の変化が描かれています。まるで一歩踏み出した先に奈落が広がっていたような・・・そんな感じです。この、ここでのセイバーと士郎が、敵の術中にはまって別れなければならなくなった時の演出がとても良い!セイバーは、障子越しにアサシンと戦いながら士郎へと言葉を投げます。障子に仕切られることによって月が映すセイバーの影しか見えなくなる士郎。この障子が、否応なく、二人がこうして肩を並べるのはこれで最後だと、最後なのだろうと思わせるのです。セイバーが好きな身としては非常につらいシーンですね。

 ④士郎x桜(セイバーを失った後)
 士郎は空虚な心で家路につきます。セイバーを失った悲しさと、助けられなかった不甲斐なさ。とぼとぼと歩く様子が俯瞰で映されていますね。玄関には、ずっとそうして待っていたのであろう、寒いながらも士郎をじっと待つ桜の姿が・・・・。この時士郎が桜にかけた、「・・・・ただいま、桜」という一言。この時の士郎の表情が、これまた良いです。この表情は、ubwにおいて操られたセイバーが橋の上で士郎に言った、「・・・逃げて、士郎!」時の表情に通ずるものがあります。複雑な彼の心境をよく表している、絶妙な表情ですね。


え~、ではここで次回作である2章・および3章へ向けて、「これだけは頭の隅においておけ!」という伏線を一部紹介したいと思います。さりげなくスルーしがちですが、これが後から効いてくる。
 
 まずは桜
 「・・・・よかった。先輩になら・・・いいです。」          (土蔵での会話より)

 次にセイバー
 「・・・では、士郎と。・・・ええ、この発音のほうが好ましい。」    (教会前での会話より)


次回作は2018年、約一年あります。この間、先にゲームでHF見るもよし、ひたすらufoスタッフの健康と安全を祈願するもよし、次章の劇場公開へ向けて英気を養っていこう!